PCCHIPS M863G V1.5A Episode III - Return of the SiS.

最終更新日: 22-Oct-2005

PCCHIPS M863G V1.5A(2004/07購入)は、コア焼け防止等のフールプルーフ機能すら持たない、簡素なM/Bです。

これを使っている理由は、MicroATXでSiS ChipsetでAMIBIOSだからと、コア電圧生成回路がありきたりな汎用部品で構成されているおかげで、Vcore 0.90V~を発生させることができたから。

私はブリッジ加工でモバイル化したXP1700+(AXDA1700DLT3C JIUHB0311VPMW, L5[2,3]=Close, L3=6x, L6=12x)を載せています。このM/BはSocket AのK7で動的な倍率・電圧変更機能を楽しむための素材としても有力な候補デス。

※ここでは普通の評価はしません。『このM/Bのここが面白い』って話題を改造前提で取り上げます。

いきなりレギュレーターコントローラーについて語ってみる

ECSやPCCHIPSのM/Bには、汎用のパルス幅変調スイッチングレギュレーターコントローラー KA7500x (FAIRCHILD SEMICONDUCTOR)を使って、CPUコア電圧生成回路を構成するものがあります。

他のコア電圧生成回路でよく採用される専用制御ICは、便利で高性能で信頼性も高く使いやすいのですが、専用であるが故に融通がきかない、ディスコンにもなりやすい、と長期間に渡る細々とした供給が必要な組み込み用等の製品には採用し難い面もあります。

本来、大量生産でコストを下げる努力をするM/Bメーカーが、わざわざこのような部品点数の多い面倒な回路になる汎用品をあえて選ぶ理由は、このディスコン対策…ってところでしょうか。

VID接続先 KA7500C周り

KA7500C SMPS (Switch Mode Power Supplies) Controller ...同等品:TL494 (TI )

汎用だからできること

部品のディスコン対策なんて個人的な用途においては何の意味も無いこと。でも汎用品が使用されていることで、ちょっとした細工が利く場合があります。例えばKA7500Cで構成されたM863GのVRCの回路定数をちょこちょこっと変更して、比較的簡単に1.100V~1.850Vの範囲外のコア電圧を生成できるかも、とか。

少し技術的な話になりますが..調べてみると、REF電圧を抵抗分割した基準電圧とVcoreやVIDから合成された比較電圧の各々をErr.AMPに突っ込んで出力制御しているようです。試しにREF電圧を分割する抵抗値を変更しただけで、Vcore 0.90V~1.50Vを発生(※1)させることができました。たまたま都合のよい電圧が得られたのでこれ以上は試していませんが、リニアに変化することを条件に、その範囲を少々調整するくらいのことは十分可能、と考えます。

コントローラーICのデータシートやアプリケーションノートを読んで、自分で解析した現物の回路図とにらめっこしながら、あーでもない、こーでもない、と模索するのは楽しいものです。でもやはり確認手段がテスターだけってのもツライ。せめて信号波形とFETの作動状況は見ておきたいですねー、しかたないけど。

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(※1)オシロスコープを持っていないので波形等は確認していない。

動的変更にも対応しとこ…

SVIDピンを使う動的な電圧変更にも対応してみました。 回路構成上、VIDピンにかかる電圧はVcore Max以内と判断(※2)したから、VIDピンを切り離して代わりにSVIDピンを直結の手抜き改造です。

SVIDピンはパワーオン直後からPWROKがアサートされるまでオープン状態のようです。このM/Bは、SVIDがすべてオープンの状態でも、電圧の最小値であるところの0.9V(抵抗値変更しなければ1.075V)を発生するので、こんな手抜き改造でも使えています。(ただし起動可能なCPUに少々の制約が生じます)
PWROKアサート後に、SVIDにL8値が反映されたコア電圧と、CPU内部のPLLにL3値倍率が設定されたクロックになります。この後RESET#が解除されてBIOSが起動します。

Power-Up Sequence.
妄想的ぱわーあっぷしーけんす M863Gは、ベースクロック100MHzで起動、POST中に規定値に変更、の手順を踏むようです。規定値が133MHzや166MHzの場合は、変更されるまでに、L8値電圧が安定していなければならないことに注意してください。
この条件を満たして、さらに0.9V(1.075V)でL3値x100MHzが動作するCPUならば、起動可能(※3)です。

M863Gのコア電圧生成回路は動的にVIDを変化させても電圧出力停止等の問題は発生しません。どうやら、VIDと出力との間の過剰な電圧差をエラー検出する機能等も無いようです。


余談.. K7 M/Bで一般的に使用されるレギュコンの専用ICは動的な電圧変更に未対応です。動作中にVIDが変化しないことが前提の異常電圧検出回路は、変化したVIDに対して瞬間的に追従できない出力との間の電圧差に反応します。特に現状より15%以上電圧を下げるVIDに変更した場合 Over Voltageとみなして出力を停止してしまいます。動的な電圧変更に未対応なレギュコンでVIDを変更する場合は、一度に変更する電圧の下げ幅を15%未満に抑えることが重要です。

この件に関して、CrystalCPUIDでは電圧変更の際にVIDを1段づつ変更することで一応対処されています。

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(※2)SVIDピンの最大許容電圧 2.625V。(2.5V +5% が許容範囲内って意味ね)
(※3)倍率固定Athlon XP2500+(AQYHA 0409)が定格の1.83GHz(166MHzx11倍)で無事起動。

たのしい手抜き工作

VIDピンを切り離す方法として、M/BのパターンカットやCPUのL11ブリッジ加工やVIDピンを折る等々を検討したけど、作業性や安全性を考えてCPUソケットのコンタクトピンを抜くことにしました。

①スライドカバーは、ここにつま楊枝をつっこんで… ②奥までゆっくりと押し込んでカバーのつめをはずす
CPUソケットのスライドカバーを外す。楊枝をゆっくりと押し込んでカバーの爪を浮かせる。
③ハンダ面からコテをあててコンタクトピンを押し出す ④抜いたコンタクトピンとスズメッキ線でつくった抜き工具
ハンダ面からピンにコテを数秒あてて、ハンダが解けたころを見計らってコテ先でピンを押し込み、押し出された側から引き抜く。
⑤コンタクトピン抜去後のソケット ⑥SVIDピンとVIDのランドを接続
コンタクトピンを抜いたVIDのランドにSVIDピンを接続する。

俺たちには CrystalCPUID がある!

あとはPowerNow!ドライバー対応のためのBIOS改造ですが... もう不要でしょう。

Multiplier Management機能(CrystalCPUID)をはじめとするDBS(Demand-Based Switching )ツールも、今では複数ありますからお好みで。

mobile K7の PowerNow!ハードウェアに対応しているツールは、M863G(改)にも有効です。

M863Gの今後

現行のM863Gはサウスが964LのV5.1A。Geode NXオンボード!?のV7.1Cも近々用意される模様。

M863G V1.5Aの概要

  • 高機能とか高品質とかとは無縁の簡素な作り。ケミコンは大半がOST。
  • FSB100/133/166をBIOSで選択。
  • サスペンドモード S1のみ。
  • BIOS: AMIBIOS Ver.8、XP-Mは定格倍率で起動。
  • Form Factor: MicroATX(244x200mm)
  • Chipset: SiS741GX + 963L
  • LAN: オンチップFastEther + RTL8201BL PHY アクセスLEDなし。
  • Video: オンチップUMAグラフィックス、ミニD-SUB15 のみ。
  • Sound: オンチップSiS7012 + C-Media CMI9738 4-channel audio Codec
  • 拡張コネクタ: One AGP + Two PCI

V1.5A → V5.1Aの変更箇所

  • Chipset: SiS741GX + 964L

V5.1A → V7.1Cの変更箇所(未確認)

  • Form Factor: MicroATX(229x200mm)
  • Sound: C-Media CMI9761A 6-channel audio Codec
  • Core Voltage Regulator: One Phase

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